負けたからじゃないんだ!
ただちょっと、ちょっと遺跡の外の空気が目に染みたからなんだ!
全くなんと言う大気汚染、何という硫黄酸化物なのだろう……そうは思わんかねお嬢さん!
「んー、あちしは空気がこもってない分外の空気のほうが清々しく感じるんだども……やっぱり精神的なものからくる一種の幻覚なんじゃんね?」
ば、ばかな!
ち、違う、仕方ない、仕方なかったんだよ!
今回当たったのは山猫、つまりヤママヤーだ。
そしてヤママヤーはなんといっても天然記念物なのだからっ!
天然記念物倒しちゃったら国に怒られるし、ヤママヤー倒しちゃったら榊さんに怒られるのだよっ!
だからここは敢えて本気を出さずに負けてやったのだ、うん、そうに違いない。
「……最後に残ってるの、偽妖精の方だけなんじゃけども」
え、ああ、それはええと……あー、まあそんなこともあるっ!
この世の中に星の数ほどにも存在する不幸な事故、というものだな。
それに向こうだって我々を倒しているのだからオアイコというものだろう。
「そ、そうなのかな」
そうなのだよっ!
しかし奴らは致命的な計算違いを犯した!
「ふむふむ?」
彼らは一度倒されたらそれっきり、人生一度きりの可哀想なその他大勢のMOB。
だが我々はどうだ?
我らは皆日頃のツラい試練に耐え、最早突っ込みその他による如何なる外傷をも1コマで治すことを可能にした究極の
ギャグ漫画体質の持ち主だよ!
それ故どんな致命傷を負ったとしても次のコマでは何事も無かったかのように復活することが可能なのさ!
「あー、まあそれはそういう手法ではあるじゃんねー」
ここで死んだのも何かの縁。
新たな方面に踏み出すもよし、踏まなかった魔法陣を踏んでおくもよし。
見たまえ!前途は洋々たるものではないかね!!
「まあぬしさんがそういうならきっとそうじゃんねー。何にせよあちしは、最終的にぬしさんの頭蓋骨と添い遂げられれば満足じゃんね」
む……む、頭蓋骨、か。
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